高齢者

高齢者の生きがい


高齢者の生きがい

生きがいとは

高齢になると、周りの人たちから「あなたの生きがいは何ですか?」と聞かれることが多くなります。そのような質問に対して、友人と一緒に趣味やスポーツをするのが楽しくてそれが生きがいです、ボランティア活動をするのが生きがいですと答えたりするでしょう。このように、「生きがい」という用語や概念は特に強く意識されることもなく、ごくふつうに使われていますが、欧米諸国にはない日本独自のものです。

「生きがい」とは、そもそも何なのかを心理学的な側面から簡潔に説明すると、「生きていることに感じるはりあいや充実感、それらをもたらす具体的な対象や活動」ということになります

「高齢者の生きがい活動」
高齢者はどの程度生きがいを感じているのか
 それでは、高齢者は日々の生活の中でどの程度生きがいを感じているのでしょうか。また、どのような時に生きがいを感じるのでしょうか。


 内閣府の『高齢者の地域社会への参加に関する意識調査』によれば、8割以上の人が生きがい(喜びや楽しみ)を感じていると回答しています。
性別ではそんなに違いはありませんが、年齢階級別にみると、年齢が高くなるほど生きがいを感じている人の割合は低くなっています。しかし、80歳以上であっても7割以上の人が生きがいを感じています。
健康状態別にみると、良い状態であるほど生きがいを感じている人の割合が高く9割強となっています。また、親しい友人や仲間が多いほど生きがいを感じる人の割合が高く、「たくさんいる」人では9割強にもなります。


どの程度生きがいをかんじているか(性・年齢別の割合) (nは回答者数

  A十分感じている  B多少感じている  Cあまり感じていない  Dまったく感じていない  Eわからない
総数(n=3293)  A44.2  B38.3  C14.2  D2.7  E0.6


男性・60~64歳
(n=386)  A42.2  B42.7  C13.5  D1.3  E0.3
男性・65~69歳
(n=420)  A45.0  B36.9  C15.0  D2.6  E0.5
男性・70~74歳
(n=338)  A48.2  B34.0  C13.6  D3.0  E1.2
男性・75~79歳
(n=235)  A41.3  B37.0  C18.7  D3.0  E0.0
男性・80歳以上
(n=172)  A35.5  B36.0  C22.7  D5.2  E0.6


女性・60~64歳
(n=463)  A47.7  B39.5  C11.7  D1.1  E0.0
女性・65~69歳
(n=430)  A48.6  B37.0  C11.6  D2.6  E0.2
女性・70~74歳
(n=358)  A43.3  B41.9  C11.2  D3.4  E0.3
女性・75~79歳
(n=282)  A42.6  B37.9  C14.2  D3.2  E2.1
女性・80歳以上
(n=209)  A36.8  B37.3  C19.6  D4.8  E1.4


どの程度生きがいを感じているか(健康状態別)

A十分感じている  B多少感じている  Cあまり感じていない  Dまったく感じていない  Eわからない
総数(n=3293)  A44.2  B38.3  C14.2  D2.7  E0.6


健康状態が良い
(n=890)  A64.6  B28.1  C6.0  D1.1  E0.2
健康状態がまあ良い
(n=757)  A43.3  B44.6  C10.3  D1.5  E0.3
健康状態は普通
(n=992)  A40.0  B41.8  C15.5  D1.9  E0.8
健康状態はあまり良くない
(n=548)  A24.8  B40.9  C27.9  D5.7  E0.7
健康状態が良くない
(n=106)  A17.9  B32.1  C29.2  D17.9  E2.8


どの程度生きがいを感じているか(友人の有無別) (nは回答者数)

A十分感じている  B多少感じている  Cあまり感じていない  Dまったく感じていない  Eわからない

総数(n=3293)  A44.2  B38.3  C14.2  D2.0  E0.6

友達をたくさんもっている
(n=932)  A66.3  B27.3  C5.4  D0.9  E0.2
友達の数は普通
(n=1507)  A42.3  B42.4  C13.2  D1.6  E0.5
友達を少しもっている
(n=700)  A25.7  B45.9  C23.6  D4.0  E0.9
友達をもっていない
(n=154)  A12.3  B30.5  C35.7  D18.8  E2.6

2 「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査結果の概要

どのような時に生きがいを感じるのか
 どのような時に生きがい(喜びや楽しみ)を感じるのかをみると、健康状態が「良い」「まあ良い」と回答した人は、「趣味やスポーツに熱中」「孫や家族との団らん」「友人や知人との食事・雑談」「旅行」などの順になっています。
 また、健康状態が「良くない」「あまり良くない」と回答した人は、「テレビ、ラジオ」「孫や家族との団らん」などの順になっています。


どのような時に生きがいを感じるか(健康状態別) (nは回答者数)


A健康状態が良い(計)(n=1491)  B健康状態が良くない(計)(n=413)

趣味やスポーツに熱中している時  A51.8  B32.9
孫など家族との団らんの時  A47.6  B45.8
友人や知人との食事、雑談している時  A46.7  B39.5
テレビを見たり、ラジオを聞いている時  A37.6  B48.9
旅行に行っている時  A42.9  B24.0
おいしい物を食べている時  A38.8  B37.8
夫婦団らんの時  A34.1  B27.4
仕事に打ち込んでいる時  A32.4  B15.5
他人から感謝された時  A19.6  B12.3
社会奉仕や地域活動をしている時  A16.5  B7.5
勉強や教養などに身を入れている時  A15.6  B8.7
若い世代と交流している時  A13.8  B9.7
収入があった時  A11.2  B7.5
その他  A1.1  B1.5
わからない  A0.5  B0.5

 何が生きがいであるのか、どのような時に生きがいを感じるのかは、人それぞれであるのかもしれもせん。しかしながらこの調査結果から、健康状態や身近な人との関係が高齢者の生きがいに深くかかわっていることが読み取れます。健康を維持し、親しい友人や仲間との良好な関係、親密な交流が生きがいを高める要因であると指摘できます。


広がる自治体の高齢者生きがい推進事業
佐藤 光邦

<要旨>
1. 人生80年時代を迎え、老後はもはや「余生」ではなく「人生における重要な期間」としての認識が高まり、厚生省の「高齢者の生きがいと健康づくり推進事業」により平成元年度から平成3年度にかけて合計431の市区町村で「モデル事業」が進められるなど、かつては「専ら個人の問題」とされていた高齢者の“生きがい”は、いまや「行政の課題」として認識される時代になった。

2. 自治体が高齢者生きがい推進事業を進めていくに当たっては地域の高齢者の生きがいに関する意識・ニーズを把握することが出発点であるとともに重要な課題となる。とりわけ都市部の自治体においては高齢者個々の状況把握がほとんど不可能であると同時に、住民の属性や意識も多様であることから、地域の高齢者の生きがいに関する意識・ニーズの客観的な把握が重要なポイントとなる。“生きがい”は「内面性」「潜在性」「多面性」「発展性」といった基本的特質を有しており、調査に当たってはこうした特質を踏まえて行なう必要がある。

3. また、こうした調査の分析に当たっては、事業の対象となる高齢者をその意識やニーズに応じてセグメン卜することによりターゲットとなる高齢者層の特徴を明確にする手法が有効である。これによると、現在の生活に関する満足度が極端に高い人及び低い人は自治体の高齢者生きがい推進事業のターゲッ卜としてはあまり有望でなく、満足度が中程度でしかも生きがい活動に対する意識がむしろ積極的でない状況の人が有望なターゲッ卜となるものと考えられる。

4. 高齢者の生きがい推進事業については、全国で画一的に事業を実施するよりも、各地域の特性を生かし高齢者ニーズを汲み取った自治代独自の企画が望まれるところであり、これまでの行政とは異なる取り組みスタンスが求められる。
「ハイカラ学校(長野県飯田市)」「健康づくりミニ巡礼(香川県善通寺市)」などユニークな事業例もいくつかの自治体で見られており、今後各自治体が競い合って高齢者の生きがい推進に向けて一層創意工夫を凝らした取り組みを行なっていくことが期待される。

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中高齢者市場と関連産業

社会研究部 准主任研究員 青山 正治
社会研究部   准主任研究員
青山 正治 (あおやま まさはる)
研究・専門分野
少子高齢社会・社会保障
長期的に中高齢者関連の市場拡大が見込まれている。質的に高い市場の拡大のために、産業界やサービス供給主体がユニバーサルデザインやサービスのユニバーサル化といった考え方を取り入れた事業展開が期待される。

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セカンドライフ支援事業の軌跡~柏市生きがい就労事業の成果と課題~

生活研究部 主任研究員 前田 展弘

■要旨
人生90年時代において、国民一人ひとりがセカンドライフをどのように築いていけるかというテーマは、個人の高齢期の生活と人生に与える影響に止まらず、地域社会の活力や質にも影響する大きな問題である。本稿では、この問題の解決に向けて、2009年度から筆者も参加し取り組んできた「柏市生きがい就労事業」の5年間の活動の総括を行い、その成果と課題をあげる。そして、さらなるセカンドライフの支援に必要な今後の対策について私見を述べる。個人のセカンドライフを考える上で、地域社会の今後のあり方を考える上でぜひ参考にしていただきたい。

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